| たっちゃん♥ |
10:45am しかしこの家には調味料が何もない。いっそ清々しい程何もない。短期で留学している女の子2人とマシャルはいったい毎日何をどうやって食べて暮らしているのだろうか。私が来るからといって、白身の魚を買ってくれたはいいものの、もともと淡白なこの魚、どう調理してくれよう...
嗚呼、悲しき主婦の性...
| ドラえもんにゴン太君、 スケジュール帳、 そして明らかに私のサイズではない 上履き(しかも青)。 私は病んでいたのだろうか |
あげくに3流大学から不合格通知が来たようなものだったのだとワナワナ震えても、
時、既に遅し。てゆうか私は、彼に対してあなたが好きですビームをだしていたのだろうか、それともむこうの勝手な妄想に巻き込まれただけなのか、いや、待て、断るくらいなら妄想するんじゃねー!!と勉強そっちのけで1週間程時間を無駄に過ごしたこと、昔の彼氏から、「お前の誕生日のプレゼントは、サプライズだ。ヒントはサイズがあること。」と言われ、こりゃ絶対指輪だと思ってワクワクしながらもドキドキ待っていたら、渡されたのが自転車で、これで大学に通って少し痩せろと言われたこと。ホントなら辛口の冷酒をがぶ飲みしたいところをグッと抑えて、「私飲めないんですよねー。」似合わない乙女感丸出しで1杯15ドルもするピンクのカクテルを頼んでたこと。走馬灯というよりは、ぶつ切りの8ミリビデオを観ているような感覚からハッと我に返る。着古した部屋着の上にぱっつぱつのシャツを着て、ジッパーが半分だけ上がったスカートを腰に巻き付けている自分を見下ろす。気がつけば洗濯サイクルはもう終わっていた。
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4:00pm 埃っぽいベースメントに2時間もいると、いい加減喉が痛くなってきた。目もしばしばしてきたし、心なしか腕や足が赤くなっているような気さえする。メンタルの面では昔よりかなり強く、というか図々しくなって、今なら飲み会で軟骨の唐揚げ片手に芋焼酎ロックでガンガンいける自信があるし、自転車をくれた元彼氏の Mr. Jackass は2、 3発竜巻旋風拳をお見舞いしてやれると思うのに、はっきりと、そして着実にカラダが弱くなっている。去年は、多少のストレスから、外の冷気や、冷水に触れると、カラダの全てに蕁麻疹が出たし、筋肉痛は完治までに最低3日かかるし。多少のやるせなさを抱えたまま、区切りのいい所でゴミ袋をまとめて、外に持っていく。手を洗って、汚れた水がシンクに流れているのを見ていると、なんだか気持ちまでスッキリするようで、
「私も単純だね。」自嘲気味にたっちゃんに話しかけると、彼女は私を見上げて、
嬉しそうに尻尾を振った。
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| 茶色がビンゴ君。 白とベージュがしーちゃん。 |
「果報者め!! 世の中には、シェルターに住んで、貰い手のない犬がワンサカいるんだぞ。それをこんなブー太君になるまでえさもらって、爪切ってもらって、お風呂にまで入れてもらってるのに...大体アンタは...」小さい頃に食べ物を残すと、きまって聞かされた「アフリカでは飢えてる子供が...」スピーチに近いお説教をビンゴに諭す。汗とビンゴの毛で、この時点で犬より私の方がよっぽど汚い。閉めたドアの外では、たっちゃんが「何してるの~?私も仲間に入れて!!」といわんばかりにドアに爪をたてながら鳴いている。私がこの中でしていることを知ったら、絶対近寄って来ないくせに。アイツにシャンプーの泡でも鼻にひっかけてやろうかというイタズラ心がちらっと湧いたとたん、まだ泡まみれのビンゴが逃走を図る。巨体からは想像がつかない程の素早さで風呂桶から飛び出すと、ドアに向かってダッシュ。首根っこをつかんで捕まえたものの、体重の重さと、泡まみれで滑るのでなかなか持ち上がらない。
私は、色々なことから少し距離を置くためにスタテンに一時避難してきたのではなかったのか。それなのに私は一体何をしているんだろう。ベースメントの掃除をしたことで調子に乗っていたのか、少しの親切心を出して犬を洗ってやろう等と思うんじゃなかった。 ビンゴの半分しか体重がないたっちゃんでさえ、家で洗わずに、ペットショップのセルフの設備が整った所で洗ってるのに。泡と毛と汗まみれの自分と、どうにかして逃げてやろうと風呂場のタイルの上を、滑りながらもウロウロするビンゴを見つめながらそんなことを思う。ただ今絶賛後悔中だ。暖房も入って、サウナみたいな風呂場で朦朧とした意識を、気合いと意地で叩き起こす。なんとかビンゴを洗い終わり、自分も風呂に入ってヨロヨロと部屋に戻ると、濡れた頭も乾かさないまま、タオル1枚巻いたあられもない格好で部屋のソファーに横たわる。部屋のカーテンが半分開いているが、閉めに立ち上がるだけの力は残っていない。見たい物好きは見ればいい。近くのリモコンに手を伸ばして、本日7回目になるPacific Rim を再生した。
9:00pm 留学生の女の子が体調不良で、固形物が食べられないというのを聞き、すぐさま車に乗り込んで近くのスーパーへ。あんなに面倒だった車の雪かきも苦にならない。これが母性本能というものなのか。スポーツドリンク等を買って、帰る前にガソリンと、車の窓ふき用クリーナーを購入。その場でボンネットを開けてクリーナーを注ぎ入れる。きっとそれ位、車を運転する人なら誰でもできることで、何を今更、という感じでも、不器用で、機械オンチの私にしてみれば鼻が高い。寒い中、始終締まらない顔で作業を終えた。家に戻って、彼女に買い物袋を渡す。彼女は嬉しそうな顔で受け取ると、ありがとうと言ってハグをしてきた。その後、英語のことで相談に乗ってくれと言われ、2時間以上、彼女に悩みを打ち明けられた。自分はシャイだから、周りに上手く打ち解けられないといいながら、2度程しか面識のない私に饒舌に色々語る。私がウンウンと聞くからなのか、これも英語の勉強のためと、勇気を出して私に打ち解けようとしてくれているのか、マシャルのようなばーさんよりは、私みたいなオバハンのほうがまだましと思っているのか。的確なアドバイスが出来たかどうかは定かではないけど、自分も通ってきた道だし、15になるかならないかの彼女を見ているうちに、妹を持つってこんな感じなのかな、なんて思いながら話をしていると、時計はもうテッペンを指していた。いつ帰ってしまうのかと聞かれ、日曜の朝に帰るつもりでいるというと、「帰らないで欲しいな」と可愛いことを言ってくる。この子も何年かしたらそんな台詞を彼氏に言うんだろうな...てゆうか私もいい男に言われたい。時間帯と、今日1日からくる疲労のせいで、思考が変態路線まっしぐらになろうとする。おかしなことを口走らないうちにと、膝を叩いて立ち上がり、みんなにおやすみを言って下の部屋におりた。
| 何か飲まないと1日が 終わった気がしないなんて、 私も重症らしい。 |
それにしても、どうして何も持って来なかったんだろう。私としたことが、焼酎はおろか、ワインすら持って来なかった。ああ、今ここに日本酒があったらどんなにいいことだろう。あまり暖房の効かないこの寒くて暗い部屋で、夜中に独り、寒さありきの冷酒があれば...酔いに任せてそのままソファーで寝落ちして、次の日には風邪をひく覚悟すら出来ている。疲れたけど、まぁまぁいい1日だったし、今日はもういいか。明日近所でワインを買ってこようか、それともミツワまで足を伸ばして日本酒買ってくるのもいいかも。膨らむ夢に浮かれた気分になるものの、いくらなんでもこの部屋で、裸足に短パンの自分の格好は寒すぎる事に気がつく。Pacific Rimをぼんやりと観ながら、眠りに落ちる前に、もう1度再生することがあるのだろうかと考えながら、たっちゃんを起こさないようにベッドに潜り込んだ。
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| ハマり過ぎ。 |



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