Friday, March 6, 2015

wumpanのある日の日記 〜ノスタルジック編〜

たっちゃん♥

9:20am 「ゔっ...」同じベッドで寝ている私の愛娘、わんこのタッチダウン、たっちゃんに頭を蹴られて目が覚めた。水曜の夜からスタテン島のマシャルのお家に泊まっている。何の前触れもなく月曜からサンフランシスコに一人旅に出ている旦那を、甲斐甲斐しく家で待つなんて、到底柄じゃない。そっちがその気なら、こっちにも考えがあります。ひとまず実家に...なんて大それた事じゃないけど、しばらくマシャルにも、こっちの友達にも会ってないからちょうどいいかと思い、水曜の夜に車を飛ばして来てしまった。昔住んでいたとは言え、部屋は改装工事がなされて、ソファーから引き出す様になっているベッドも、簡易型でも結構快適で、こうして9時過ぎまで寝てしまったという訳だ。最近、心身共に疲れ気味で、この歳になってもお子様の私はそれを上手に隠して振る舞うことが出来ないらしく、水曜の ミーティングでも、周りの人に大丈夫かと尋ねられてしまった。本来なら、今週も色々とあるのだけれど、それまで抱えていた仕事を全て無理矢理火曜に片付けて、後は全てすっぽかす予定だ。時間や、期限のプレッシャーがないということが、これほど有り難いものだったのかと、まだ寝ぼけた頭で考える。考えながら薄目を開けてたっちゃんの方を見ると、私の顔を覗き込むようにしてこっちを伺っている。あまりの可愛さに笑みがこぼれそうになるのを敢えて我慢して、また目をつぶる。ここで安易に「おはよう」などと話しかけたら、遊んでくれ、かまってくれと言わんばかりに私にとびかかってくるに決まっている。目をつぶったものの、どうしているか気になって片目だけ開けてみる。たっちゃんは相変わらず私を覗き込んでいたようで、目が合うと嬉しそうに尻尾をブンブン振り回し、鼻を私の開けた片目に突っ込んできた。「イタイ、イタイってば!!ハイハイ、起きます、起きます。」3月6日、午前9時28分、こうして私の一日が始まった。

10:45am しかしこの家には調味料が何もない。いっそ清々しい程何もない。短期で留学している女の子2人とマシャルはいったい毎日何をどうやって食べて暮らしているのだろうか。私が来るからといって、白身の魚を買ってくれたはいいものの、もともと淡白なこの魚、どう調理してくれよう...
ふてくされ半分、甘え半分で、もう今週仕事はしないと言ったものの、やはりクライアントから連絡がくれば断るわけにはいかない。どうか何もありませんように。大げさに、祈るような気持ちでメールをチェックする。仕事がらみのメールがないことにホッとすると、おなかが減ってきた。3日前のキックボクシングのクラスから、未だ立ち直れない筋肉痛の足を引きずりながらキッチンへ。戸棚や冷蔵庫を物色した後、白身魚とにらめっこすること数分。なんとか塩はあるが、棚の奥から引っ張りだしたコショウは何年前のものか分かったもんじゃない。コショウって腐るのかな...ググってみようかとも思ったが、なんだかバカバカしくて、ベタベタした瓶ごとゴミ箱へ放り込む。ベーキングシートの上に魚を横たえ、カウンターの側にあった、ひからびたライム2つを半分に切って力任せに絞る。その後ハーブ入りのパン粉をまぶしてオリーブオイルを数滴たらしてオーブンに入れる。おいしくなくてもいいから、せめておなか痛くなりませんように。朝っぱらからギャンブルな上にヘビーだが、仕方ない。買い物に行こうかとも思ったが、連日の雪で車を出すのも、そのために車に積もった雪を払うのも億劫である。冷蔵庫に入っていたサラダを引っ張りだして、焼けた魚を上にのせたら以外にもカフェ飯っぽくて満足。そんな一時の優雅な気持ちはどこへやら、日頃のクセで、シンクの脇で慌ただしく食べてしまった。
嗚呼、悲しき主婦の性...

ドラえもんにゴン太君、
スケジュール帳、
そして明らかに私のサイズではない
上履き(しかも青)。
私は病んでいたのだろうか
1:30pm 昨日から連続でつけ続けていた映画、Pacific Rim の爆破シーンの轟音で目が覚めた。エセカフェ飯の後、 メールを再度チェックしたり、たっちゃんと遊んだりしているうちにまた眠ってしまったようだった。平日の昼間から食っちゃ寝るとは私もいいご身分になったものだ。せめてもの罪滅ぼしと自分への言い訳のために洗濯をすることに。ベースメントに言って自分の洗濯物や、マシャルのもの等、テキトーに放り込む。周りを見渡すと、ダンボールや、洋服、シーツ等が雑然と積み上げられている。その山の中に、懐かしいものを見つけて、思わず手を伸ばした。昔読んでいた小説や、着ていた服、UFOキャッチャーで 釣った景品...つでに昔のスケジュール帳まで出てきた。 思わずテンションが上がり、無邪気にスカートやシャツに腕を通す...キ、キツイ...あげくに露出が多い。20代の、向こう見ずなクセに、ヘンに純情だった日々を、ピチピチのシャツを着たままで思い返す。色々あったな。突然好きでもない男から、「ありさちゃん、ごめん。」と謝られ、咄嗟に意味が分からないまま「はい、どうも。」と返事をして、数日後にやっと、彼の言葉の意味を理解する。あれはいわば、願書を出してもいない、
あげくに3流大学から不合格通知が来たようなものだったのだとワナワナ震えても、
時、既に遅し。てゆうか私は、彼に対してあなたが好きですビームをだしていたのだろうか、それともむこうの勝手な妄想に巻き込まれただけなのか、いや、待て、断るくらいなら妄想するんじゃねー!!と勉強そっちのけで1週間程時間を無駄に過ごしたこと、昔の彼氏から、「お前の誕生日のプレゼントは、サプライズだ。ヒントはサイズがあること。」と言われ、こりゃ絶対指輪だと思ってワクワクしながらもドキドキ待っていたら、渡されたのが自転車で、これで大学に通って少し痩せろと言われたこと。ホントなら辛口の冷酒をがぶ飲みしたいところをグッと抑えて、「私飲めないんですよねー。」似合わない乙女感丸出しで1杯15ドルもするピンクのカクテルを頼んでたこと。走馬灯というよりは、ぶつ切りの8ミリビデオを観ているような感覚からハッと我に返る。着古した部屋着の上にぱっつぱつのシャツを着て、ジッパーが半分だけ上がったスカートを腰に巻き付けている自分を見下ろす。気がつけば洗濯サイクルはもう終わっていた。

2:45pm 昔の自分とのプチ同窓会気分のままに荷物を片付けていく。古いものは、プラスチックの箱のフタが外れた所から水が入り、ダメになってしまっているものが多々あり、ゴミ袋に突っ込んでいく。今ではもう思い出すこともできないような小さな失望や努力、楽しかったことや嬉しかったことが、壊れた写真立てや、シミがついて着られなくなってしまった洋服1つ1つに染み入っているような気がして、捨てるのが惜しくなる。そんな気持ちを振り切るように、私は音を立てて、わざと乱暴にゴミ袋に叩き込んだ。

4:00pm 埃っぽいベースメントに2時間もいると、いい加減喉が痛くなってきた。目もしばしばしてきたし、心なしか腕や足が赤くなっているような気さえする。メンタルの面では昔よりかなり強く、というか図々しくなって、今なら飲み会で軟骨の唐揚げ片手に芋焼酎ロックでガンガンいける自信があるし、自転車をくれた元彼氏の Mr. Jackass は2、 3発竜巻旋風拳をお見舞いしてやれると思うのに、はっきりと、そして着実にカラダが弱くなっている。去年は、多少のストレスから、外の冷気や、冷水に触れると、カラダの全てに蕁麻疹が出たし、筋肉痛は完治までに最低3日かかるし。多少のやるせなさを抱えたまま、区切りのいい所でゴミ袋をまとめて、外に持っていく。手を洗って、汚れた水がシンクに流れているのを見ていると、なんだか気持ちまでスッキリするようで、
「私も単純だね。」自嘲気味にたっちゃんに話しかけると、彼女は私を見上げて、
嬉しそうに尻尾を振った。

茶色がビンゴ君。
白とベージュがしーちゃん。
6:00pm マシャルの家の犬、ビンゴとシーナ(しーちゃん)の爪を切って、ビンゴを風呂に入れる。私が引っ越してから、どちらの犬も急激に太った。こうなったらもう犬じゃなくて馬なんじゃないかという程太った。暴れる馬、いや、ビンゴ君を自分の腰をかばいながら持ち上げ、風呂桶に押し込む。お湯をかけてやると、私の顔を見上げながら、クゥ〜ンと情けない声を上げて抗議する。もしも誰かが、私を洗ってくれると言うなら、着ているものをすぐさま脱ぎ散らかしながら、一目散に風呂場に駆け込むであろう。お金だって払いたいくらいだ。そんなにありがたいことを、この犬は分からないらしい。
「果報者め!! 世の中には、シェルターに住んで、貰い手のない犬がワンサカいるんだぞ。それをこんなブー太君になるまでえさもらって、爪切ってもらって、お風呂にまで入れてもらってるのに...大体アンタは...」小さい頃に食べ物を残すと、きまって聞かされた「アフリカでは飢えてる子供が...」スピーチに近いお説教をビンゴに諭す。汗とビンゴの毛で、この時点で犬より私の方がよっぽど汚い。閉めたドアの外では、たっちゃんが「何してるの~?私も仲間に入れて!!」といわんばかりにドアに爪をたてながら鳴いている。私がこの中でしていることを知ったら、絶対近寄って来ないくせに。アイツにシャンプーの泡でも鼻にひっかけてやろうかというイタズラ心がちらっと湧いたとたん、まだ泡まみれのビンゴが逃走を図る。巨体からは想像がつかない程の素早さで風呂桶から飛び出すと、ドアに向かってダッシュ。首根っこをつかんで捕まえたものの、体重の重さと、泡まみれで滑るのでなかなか持ち上がらない。
私は、色々なことから少し距離を置くためにスタテンに一時避難してきたのではなかったのか。それなのに私は一体何をしているんだろう。ベースメントの掃除をしたことで調子に乗っていたのか、少しの親切心を出して犬を洗ってやろう等と思うんじゃなかった。 ビンゴの半分しか体重がないたっちゃんでさえ、家で洗わずに、ペットショップのセルフの設備が整った所で洗ってるのに。泡と毛と汗まみれの自分と、どうにかして逃げてやろうと風呂場のタイルの上を、滑りながらもウロウロするビンゴを見つめながらそんなことを思う。ただ今絶賛後悔中だ。暖房も入って、サウナみたいな風呂場で朦朧とした意識を、気合いと意地で叩き起こす。なんとかビンゴを洗い終わり、自分も風呂に入ってヨロヨロと部屋に戻ると、濡れた頭も乾かさないまま、タオル1枚巻いたあられもない格好で部屋のソファーに横たわる。部屋のカーテンが半分開いているが、閉めに立ち上がるだけの力は残っていない。見たい物好きは見ればいい。近くのリモコンに手を伸ばして、本日7回目になるPacific Rim を再生した。

9:00pm 留学生の女の子が体調不良で、固形物が食べられないというのを聞き、すぐさま車に乗り込んで近くのスーパーへ。あんなに面倒だった車の雪かきも苦にならない。これが母性本能というものなのか。スポーツドリンク等を買って、帰る前にガソリンと、車の窓ふき用クリーナーを購入。その場でボンネットを開けてクリーナーを注ぎ入れる。きっとそれ位、車を運転する人なら誰でもできることで、何を今更、という感じでも、不器用で、機械オンチの私にしてみれば鼻が高い。寒い中、始終締まらない顔で作業を終えた。家に戻って、彼女に買い物袋を渡す。彼女は嬉しそうな顔で受け取ると、ありがとうと言ってハグをしてきた。その後、英語のことで相談に乗ってくれと言われ、2時間以上、彼女に悩みを打ち明けられた。自分はシャイだから、周りに上手く打ち解けられないといいながら、2度程しか面識のない私に饒舌に色々語る。私がウンウンと聞くからなのか、これも英語の勉強のためと、勇気を出して私に打ち解けようとしてくれているのか、マシャルのようなばーさんよりは、私みたいなオバハンのほうがまだましと思っているのか。的確なアドバイスが出来たかどうかは定かではないけど、自分も通ってきた道だし、15になるかならないかの彼女を見ているうちに、妹を持つってこんな感じなのかな、なんて思いながら話をしていると、時計はもうテッペンを指していた。いつ帰ってしまうのかと聞かれ、日曜の朝に帰るつもりでいるというと、「帰らないで欲しいな」と可愛いことを言ってくる。この子も何年かしたらそんな台詞を彼氏に言うんだろうな...てゆうか私もいい男に言われたい。時間帯と、今日1日からくる疲労のせいで、思考が変態路線まっしぐらになろうとする。おかしなことを口走らないうちにと、膝を叩いて立ち上がり、みんなにおやすみを言って下の部屋におりた。

何か飲まないと1日が
終わった気がしないなんて、
私も重症らしい。
2:20am 部屋に入るなり、待ってましたとばかりにたっちゃんはベッドの上にジャンプする。私は彼女に目をやりながらソファーに座り、本日、実に10回目となる Pacific Rimを再生した。今日だけでも、しつこい程この映画を見ている。一回毎に終始見ている訳ではないが、それでもこの回数見ている。同じ映画と本は、なぜこう何度も見たり読んだりする度にホッとするのだろう。
それにしても、どうして何も持って来なかったんだろう。私としたことが、焼酎はおろか、ワインすら持って来なかった。ああ、今ここに日本酒があったらどんなにいいことだろう。あまり暖房の効かないこの寒くて暗い部屋で、夜中に独り、寒さありきの冷酒があれば...酔いに任せてそのままソファーで寝落ちして、次の日には風邪をひく覚悟すら出来ている。疲れたけど、まぁまぁいい1日だったし、今日はもういいか。明日近所でワインを買ってこようか、それともミツワまで足を伸ばして日本酒買ってくるのもいいかも。膨らむ夢に浮かれた気分になるものの、いくらなんでもこの部屋で、裸足に短パンの自分の格好は寒すぎる事に気がつく。Pacific Rimをぼんやりと観ながら、眠りに落ちる前に、もう1度再生することがあるのだろうかと考えながら、たっちゃんを起こさないようにベッドに潜り込んだ。
ハマり過ぎ。





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